特殊清掃の豆知識

弊社の「消せない臭いはない」についての・・・

2024年04月01日 23:21

「あぐり」への質問 

弊社の「消せない臭いは無い」について


特殊清掃の業者のホームページの多くには「どんな臭いも消せます」との謳い文句が多く記載されています。実際にどんな「臭いも消せる」は有りません。真夏の死後3週間をケースとしてご案内させて頂きます。


1 その空間の臭いの除去を行う事は確実に行えると断言する事はできます。ただ「臭気源 ・臭いの元」の除去・撤去を行わなければ成らない材質を使った建築部材が有る事も皆様には知って頂ければと思います。


2 臭いを消しきれない物・フローリング

まず、体液等が付着し浸潤した部材の臭いは取れません。例えばフローリングは単層フローリングと呼ばれる原木を活用した材質の物や複層フローリングと呼ばれる合板製の物が多くございます。この単層フローリング、複層フローリングは勿論「木製」です。体液はフローリングの継ぎ目や合板の場合はその間から浸潤してゆき「カビ」等が発生しやすくなります。この汚染源が浸潤した状態での消臭は不可能です。切り取りを行うしか有りません。



3 体液を吸い上げた石膏ボード

石膏ボードは元々、「吸湿性」の高いアスベストで作られております。これもフローリング同様に直接体液を吸い上げている状態の物は体液により石膏ボードは粘土状になっている為、撤去を行わなくてなりません。ただ、むやみやたらに切り取る必要性は有りません。体液を吸い上げている所から数十㎝の切り取りで十分です。不必要な切り取りは現状回復費用を高めるだけです。ただ、特殊清掃業者の多くは、石膏ボードの臭いの除去方法を知りません。弊社にも石膏ボードの臭い除去方法を「習いたい」と申される方々が多くいるのも現状です。この様な理由により石膏ボード自体の全面撤去を行う業者も多く存在します。


4 クロスの撤去

夏場の死後3週間の現場においてクロスの撤去は必須です。クロスも吸湿性が高く、多くの場合石膏ボード等の天井や壁等に貼り付けられています。クロスは大きな臭気源の粒子を吸収し石膏ボードのいわゆるフイルター的な役割をしています。よってクロス自体の消臭は現代消臭においては不可能に近い資材です。(関西に1社のみ可能業者は存在しています。


5 ベニヤ板

夏場の死後3週間の孤独死現場で押し入れが空いた状態の場合、弊社が一番、苦労するのが「押し入れ」です。臭気は狭所へ狭所へと押し込まれてゆきます。押し入れの多くはベニヤ板が使われています。ベニヤ板は皆さんも御存知の通り合板です。薄い板を樹脂により貼り付けられた物です。「木」自体の消臭は、それ程、困難な物でも有りませんがベニヤ板は樹脂で貼り付けられている為、その「樹脂」自体に臭気が入り込む事が多く脱臭が容易では有りません。臭気の度合いにもよりますが臭気が弱いもので有れば薬剤による洗浄で除去できますが、臭気の強い場合にこの薬品を使用し続けると樹脂が溶けてベニヤ板自体が「ふやけて剥げてきます」これは施工を行わなければ結果が分かりにくく状況によっては撤去を検討しなくてはならないケースも有ります。


6 ユニトバス内での練炭自殺

ユニットバス内での練炭自殺現場ではユニット全体の撤去が必須となります。ユニットはFRP・グラスファイバー(ガラス繊維)をコーティング加工した物です。練炭は酸性のガスが出る事により化学反応を起こします。またグラスファイバーは熱に弱い事も有り溶け込んだ熱やガスにより現代の消臭技術での脱臭は不可能です。公園によく有るベンチもFRPで出来ており紫外線や熱等により変色している物をお見掛けになられた事も有ると思います。ただ、孤独死された浴槽の場合、のちに使用される方の事を考えユニット撤去を希望される遺族が多い事が多く有ります。


7 他社では消臭が行いない資材「ジプトーン」

ジプトーンは、縞模様の虫食い状の不規則の穴が特徴の石膏ボード製天井材です。臭気は凹凸の形状に付着しやすい性質が有る事と材質が「石膏ボード」と言う事も有り、完全な消臭を目指す業者では撤去を行う事が一般的な施工方法です。ただ、弊社の場合

㈱クリエーション(消臭剤の提供を受けるには面接・施工水準の審査が求められます。から消臭剤の提供を受けており、ジプトーンの消臭対策も撤去を行わず完全な消臭施工が行えています。

以上の様に弊社も含めて同業他社においても「どんな臭いも消臭できます」とアピールをしていますが、それは汚染源となった室内を指しております。体液やクロスが残っている施工では、どんな科学を使っても現在の消臭技術での消臭は不可能です。特殊清掃業者の過大なアピールも、それぞれの水準に有った施工内容の案内にしなければクライアントに混乱を与えるだけで業界自体の発展も無いものとも思っています。残せる建築部材や残せない部材をあらかじめクライアントに説明する事も特殊清掃業者の義務と考えています。