特殊清掃の豆知識

他社の特殊清掃後の再消臭の依頼は確かに・・・

2024年04月16日 22:05

「あぐり」への質問 特殊ブログ15 他社の手直しが多いと聞いたのですが?

 

他社の特殊清掃後の再消臭の依頼は確かに確実に増えてきました。その多くが不動産管理会社からの御紹介によるものです。ただ、実際の特殊清掃を行ったのか否かが分からない水準の施工が散見される事も有り唖然とするシーンも数多くあります。今回は尾道市の管理会社からの御紹介を頂いたケースを御案内させて頂きます。


1 石膏ボードの臭気除去

多くの業者が「石膏ボード」の脱臭方法を知らないと思われます。先日、尾道市の管理会社からの要請で、他社の手直し施工を行いました。その管理会社との「ご縁」は、昨年の春、別案件で死後「推定1年半」の1Rの特殊清掃を行った事が有りました。その施工と消臭結果により再び「ご縁」を頂く事となりました。

また、他の特殊清掃業者へも声をかけていたとの事でしたが、その業者は室内全てに取り付けられている「石膏ボード」の取り外しによる撤去を消臭条件としており、石膏ボードの撤去を行わなくても消臭が行える弊社を選択して頂いたとの事でした。石膏ボードを全て撤去する事による弊害は「現状回復費」が莫大な金額になる事と弊社による施工であれば「現状回復費が安価に済む」事「臭いを完全に除去した実績」が有る事などが弊社を選択して頂いた背景が有った様でした。石膏ボードの全面撤去は、特殊清掃業者の仕事では無くリフォーム会社の仕事の範囲と弊社としては認識しています。

ただ、先行して特殊清掃を行った業者の施工は室内の「あらゆる物」に臭気が付着している様な状態でした。


2 クロスの剥ぎ取り

長期にわたり発見の遅くなった御遺体の室内は体液が揮発しクロスを貫通し、石膏ボードに浸み込んでいます。この現場ではクロスの剥ぎ取りも行われて無く体液も体液可視剤により多数の確認がされました。クロスの剥ぎ取りは必須施工の一つですが、まったく施工された形跡が有りませんでした。クロスは吸湿性の高い物で有り、まずクロス自体に臭いが付着しています。ただ、クロスも、ただ「剥ぐ」と言う単純作業では無く薬品を噴霧しながらクロスの撤去を行ってゆきます。どうしても室内には空気が、よどんでいる場所(臭気が強い場所)が有り薬品を使用しながら、それを確認する為です。これは石膏ボードの臭い除去の為の前作業(下処理)となります。


3 臭気源の除去(未施工)

この現場において、床はCF(クッションフロア・クッションカーペット)と呼ばれる樹脂製の物が使われていましたが、まったく特殊清掃を行った形跡を見つける事が出来ませんでした。CFは体液等の水分を漏らさない様な性質がありますがCFはクロス同様に貼り付けられている物です。最初に施工を行った業者はCFの性質自体は理解していたのかも分かりませんが、CFとCFの継ぎ目から体液が染み入る事、自体を認識していなかったか、見落としていた様でした。CFが特殊清掃において厄介なのは「接着剤」です。CFは強力な接着剤で床板に張り付けられています。CFの継ぎ目から浸潤した体液は「接着剤」まで浸潤しています。この接着剤と床板が臭気源になっている場合が多く有ります。

この様なケースの場合は、まず接着剤の撤去作業から始まります。これは誰が行っても時間を要する物です。

そして床板の洗浄作業へと移行してゆきます。

ただ、CFの接着剤の下は床板が体液により腐食していないケースも多く、薬品による洗浄と消臭コーティングで対応ができるケースも多く有ります。この現場も床板の撤去までには至る事は有りませんでした。


4 洗浄清掃

この現場ではキッチン・トイレ・浴室や全てにおいて洗浄された形跡が有りませんでした。体液は揮発により「埃」にも吸着しますが・・・

キッチンは「油汚れに」トイレは狭所部と言う事も有り「尿石や便器の汚れに」浴室も同様に「カビに」付着いたします。このように特殊清掃において洗浄作業は徹底した清掃が求められます。

私独自の見解ですが「孤独死現場」の清掃だから特殊清掃と呼ばれているかも分かりませんが「特殊な洗剤や機材を用いて」の清掃だから特殊清掃と私は認識しています。

余談ではございますが、この賃貸住宅の管理会社の担当者様より「ハウスクリーニングはしていないのか?」との、お褒めの言葉も頂戴する事ができました。


5 特殊清掃価格

どの業種も一緒ですが生産性を高めようとすれば「クォリティー」は下がってきます。

逆に、「クォリティー」を高めれば生産性が落ちてきます。この現場における「先発業者は施工方法を知らないのか?生産性を高めようとしたのか?」私には分かりませんが、特殊清掃の施工費用は弊社よりも低価格だったとの事でした。ただ、クライアントからは「いくら安くても」消臭が出来なければ「ただの捨て銭」だったと、ぼやかれていた事が印象的でした。


6 クライアントの2重払い

この現場での悲劇はクライントが特殊清掃の施工費を2回支払っている事です。最初に施工した業者が適格な処理で特殊清掃を行っていれば、このクライアントは2度に渡る特殊清掃費用を支払わなくても済んだ物と思います。いい加減な施工を行った業者には是非、反省を求めたいと考えますしクライアントへは親族を亡くされた悲しみと、中途半端な施工による余分な金銭的な負担が有った事を考えると「気の毒」で仕方ない気持ちで一杯となります。

ここの管理会社は広島県東部エリアでは最大手の不動産管理会社です。特殊清掃業を継続して行くので有れば、もう少し経営上においても丁寧な仕事や出来る事や出来ない事を明確にお伝えし理解や納得を得て施工を行えば営業戦略上においても「次に繋がる」ものだったと考えています。施工水準の低い業者程、目先の利益に走っている様にも感じており、この特殊清掃業界の発展の為にも、もう少しだけ誠実な対応や施工を行う努力を行う必要が有る事と考えています。