特殊清掃の豆知識

特殊清掃における業者の乱立と消臭で・・・

2024年05月16日 22:23

特殊清掃における業者の乱立と消臭で気を付けたい、危ない7ツの事

 

1 皆さんが求めている施工(特殊清掃)


まず、最初に皆さんが「求めている」もしくは賃貸住宅の場合「求められている」特殊清掃を整理してみて下さい。解体を前提にしている物件での特殊清掃では近隣対策(臭いによる苦情防止)を目的とした程度に抑える(費用)の特殊清掃。

また、売却や賃貸返却目的による特殊清掃では次の人が使う為の施工とは工程が異なります。当然、売却や賃貸返却の場合は完全な消臭が求められます。まず、入口で何(どこまでの消臭)を求めているか?業者へ依頼する前の皆さんの「考え方」を整理して頂く事が必要と考えます。それにより特殊清掃で発生する費用は異なって参ります。


2 緊急性の有無

孤独死等に突然遭遇された方の多くは緊急性を「求められる」錯覚に陥る事もございます。早期発見時や厳寒期等においては「その臭い」は非常に弱く臭気が拡散する事は稀です。これは腐敗進行が進んでいない状況を例として御説明させて頂きます。孤独死により親族を失われた方の多くは「悲しみ」と特殊清掃の「対応」に冷静さを失われている事が多いと感じています。気温が低い季節で尚且つ早期発見の場合は今一度、冷静に業者選定を行って下さい。特殊清掃を語る業者の中には「早期対応」を煽る業者も存在する様です。逆に気温20℃以上の気候で発見が遅れ「ハエ」が乱舞している状況では緊急性が求められる事と考えています。


3 施工方法

特殊清掃には、業者により様々な施工方法が行われています。体液等の臭気源の「拭き取り作業」で特殊清掃とする業者もいれば、消臭剤噴霧とオゾン燻蒸を行う行為自体を特殊清掃とする業者、石膏ボード等の壁材の全撤去等を行い特殊清掃とする業者等、多種多様な「独自・独学」による特殊清掃業者も多く見受けられます。多くの方から弊社が求められるケースは、やはり現状復帰費用が「安価」に済む「異臭除去」です。弊社は特殊清掃を行う上で臭いの「完全除去」をゴールとしています。

特殊清掃業者を名乗る者の中には、中途半端な施工を行い「窓を開けておけば」「半年くらいの期間を、おけば」等の説明を行い放置する業者の手直し施工も多く行ってきました。どの業者も「これが正解」と思って施工しているかも分かりませんが10年以上前の施工方法を未だ行っている業者もいます。臭いは「雑菌・カビ」の繁殖により大きく影響されます。その業者の施工方法にエビデンス(根拠)が有るか?皆さんが、その施工方法に理解でき納得できる説明が行えるか?否か?不安な時は納得いくまで業者に質問される事をお勧めさせて頂きます。プロの特殊清掃業者で有れば皆さんの御納得を頂ける施工説明が行えるものと考えます。

まず「腑に落ちない」説明しか行えない業者は、業者自身のスキルや知識が乏しいとも思える為、要注意です。また、遺品整理士認定協会で「事件現場特殊清掃士」の民間資格もございますが、これは「リーガルチェック」と基本的な対応を「資格基準」としています。私も、この資格を取得していますが「実務」とは、少し乖離した性質の内容です。特殊清掃を行う上において必要なのは「何故?」と「執着!」です。臭いは現象です。現象対応では無く原因対策を追及してゆけば必ず「消臭」は行えます。時間は係るかも分かりません。ただ、特殊清掃に対する姿勢を皆様には見極めて頂ければと思います。


4 危険な料金設定(追加請求)

特殊清掃における料金は業者毎に千差万別です。これは施工方法に準ずる性質による物と考えています。中には皆様にとって危険な料金設定も有ります。HP上では、どの業者も安価な金額提示を行っていますが、実際には施工内容や施工水準が大きく異なっています。

やはり、あるべき姿は「施工水準=施工金額」と考えますが、施工水準の低い業者ではオゾン燻蒸を繰り返しても臭いの除去は行えません。ストレートに申し上げますと施工水準の低い業者ほど「オゾン燻蒸1回○万円」と価格設定している事が多いと耳にしています。「オゾン燻蒸」は消臭方法の中の一つのツールで有り、それのみで消臭が行える性質のものでも有りません。施工水準が低い業者程、この価格設定を行っている様に感じています。消臭スキルが低ければ低い程、「オゾン燻蒸」に依存し何回も繰り返せば、料金は増幅してきます。よって消臭業者で有ればクライアントが納得するまでの料金設定、つまり「オゾン燻蒸1回いくら?」では無く「臭いが無くすのにいくら?」の料金設定を行える業者選定をお勧めさせて頂きます。


5 施工範囲の変更による追加請求

プロの特殊清掃業者であれば、見積りで有る程度の施工範囲を予測できる事が行えます。ただ、家屋の「作り」により施工範囲が広くなったり狭くなったりする事は多くあります。高級戸建ブランド物件では腐乱期間が長くても床下まで体液が浸潤していない事も有ります。逆に古い木造住宅では発見が早くても体液が階下に浸潤している事も有ります。そう言った「見立て」が出来ない業者程、追加請求を行う事が多い様にも感じています。クライアントは、納得される事が多いと伺っていますが最初の見積り時の見立てに大きな誤差が出る業者での特殊清掃では「不完全な結果」を招く一因とも考えています。


5 工期と契約書

特殊清掃業者の中には「工程」「工期」を明確に契約書に締結する業者も多いとは思いますが、決められた工程、工期のみで「結果」を約束(保証)しない業者も存在する様です。しっかりとクライアントに満足いただける結果を残す業者で有れば何の問題も有りませんが消臭施工が「不完全」な状態で引き渡しを行う業者も存在している様です。

クライアントからすれば「気になる臭い」「嫌な臭い」も消臭業者が「違和感のない臭い」「記憶臭」では?と反論されればクライアントは泣き寝入りするしか無いのが実態です。以前にも記事にさせて頂いたかも分かりませんが「臭い」には「単位」が存在して無い為です。重さで有ればキログラム、音で有ればデシベル等の物差しが有りますが「臭い」には有りません。

よって不完全な消臭結果で有ったとしても根拠を示しにくいものです。ここの見極めが曖昧な申し上げ方になりますが、まず「信頼・信用」が行えるか?厳格に特殊清掃(消臭)を履行する契約書になっているか否か?業者選定を行う上において重要な事と考えます。


6 「臭い戻り」とオゾンの危険性

これは冬時期なありがちな「不完全な消臭結果」が招く代表例です。厳寒時期は雑菌やカビも繁殖しにくく、経験不足の業者に多く見受けられます。厳寒時期の特殊清掃を行う上において「臭い」が無くても汚染源(体液等)の洗浄もしくは解体、コーティングは必要となります。体液が付着している汚染源は厳寒時期から梅雨時期になると湿気と共に雑菌やカビが繁殖してきます。こう言った環境になると比例して臭気も上がってきます。実は厳寒時期の特殊清掃ほど高いスキルが求められます。

弊社では体液可視剤を使用し汚染源の対応を行っています。

また、その他の「臭い戻り」は特殊清掃業者のエラー、見落としによる物が多くございます。多くの場合はオゾン燻蒸後の立ち合い引き渡しが原因となっている事が多く見受けられます。オゾン燻蒸後はオゾン臭が強く、微量の異臭を感じ取る事が困難な状態です。

また、オゾンは肺水腫等を招く有害な物であり、引き渡し立ち合いはオゾン燻蒸1週間後くらいに行えば「臭い戻り」のチェックも人体への悪影響も無く判断ができる物と考えます。


7 危険な施工方法

建屋

特殊清掃には様々な工程を積み上げて、初めて成立する物です。その工程の中で、まずモルタルやコンクリートに染みついた体液除去方法について御案内させて頂きます。これはマンションや賃貸の共同住宅で見られる物ですが、フローリングでお亡くなりになられた方で、尚且つ発見が遅れ体液が床の一番底のモルタルやコンクリートにまで達している事は珍しい事では有りません。

驚く事に、そのモルタルの汚染源(体液浸潤箇所)を未だに斫つる(ハツル)特殊清掃業者がいる事に驚ろく事が有ります。本来、コンクリートとモルタルの相違点は強度です。これは共同住宅の床下のモルタルは成分のセメントが少なく強度を上げ、クラック(ヒビ)を防ぐ為にモルタル用接着剤を混入し仕上げられている事も多く有ります。そこをハツルと言う工法は、明らかに耐久性に影響を与える工法です。

僅かなクラック(亀裂)でも実際は深層部まで達している事も有ります。実際にハツル行為自体がクラック(亀裂)から侵入した二酸化炭素によりモルタルやコンクリートに含まれる水酸化カルシュウムと結合し化学反応を起こします。コンクリートはアルカリ性ですが水酸化カルシュウムと交わる事で中性と変わり躯体へのサビ等による耐久性を損なう大きな要因となる事となります。最近の新しく共同住宅では賃貸・分譲とも「ハツリ」施工を禁止している管理会社も多くございます。


再施工

次に危険なコーティング施工です。これは人体への被害を指した物では無く、特殊清掃の再施工が必要になる事を申し上げたく記事にさせて頂きました。これは一昨年、再施工を行った山口県の特殊清掃業者の例を御案内させて頂きます。その現場は石膏ボードの間仕切り一つの共同住宅で孤独死をされた方の体液が間仕切りに取り付けられた石膏ボードに吸い上げられ隣の部屋へ浸潤していましたが、その業者は体液を吸い上げた石膏ボードをコーティング(消臭塗料塗布)とオゾン燻蒸を行ったとの事でした。実際には体液を吸い上げた石膏ボードは粘土のような状態になっています。皆さんペットを飼っていらっしゃるので有れば分かりやすいかも知れませんが、ペットの排泄物を活性炭入りの塗料で覆って臭いを防げると思いでしょうか?これは不可能です。いくら塗料を何重に塗布したとしても乾燥と共に「それに」に亀裂が入り、また湿度と共に嫌な臭いは必ず戻ってきます。

これが「もし?」完全な消臭方法で有ってとしても私が見た壁1面の消臭塗料塗布で収まる物でも有りません。理論的に考えると、床、4面の壁、天井、の6面の消臭塗料の塗布とお隣の部屋の5面の消臭塗料の塗布が必要となります。これは気化した体液が揮発しやすい箇所へ移動する為です。ただ、現実的には不可能の施工方法を行った業者がいると言う事と再施工費用を支払われた方がいると言う気の毒な事実です。


8 まとめ

特殊清掃は専門業者「のみ」が対応できる「特殊」な施工方法が必要な「消臭」です。

皆さんが求められているかも知れない「安くて安価」な業者はいるかも知れませんが、私のしる限り認識できていません。皆さんが求められているのが完全な消臭で有れば施工開始から「臭い戻りの確認」、場合によっては再施工と工期は3週間にまたがる事も有ります。特殊清掃は、何かの事業の兼業として行える程、安易な物では有りません。現場の状況や環境によっては思っておられる金額以上の施工費が発生する事も有ります。また、思い描かれた金額以下の施工費用の場合もございます。まず、「孤独死」を直面された方は「慌てず!」この記事を読み返して見て下さい。また、電話相談は無料です。いつでも、お気軽に御連絡頂ければと思います。