特殊清掃の豆知識

お客様からニオイの元(臭気源)につい・・・

2024年06月11日 23:50

お客様からニオイの元(臭気源)についてご質問があったので、今日は臭気源などについてお話させていただきます。

 

悪臭の原因となる物質は数多くあるのですが、複数の物質が複合することで悪臭が発生することが多いのです。その中でも、不快なニオイの原因となり生活環境を損なう恐れのある物質を特定悪臭物質といい、これは悪臭防止法によって定められています。

 

特定悪臭物質には22物質が指定されています。特定悪臭物質とそれぞれのニオイについてご紹介していきます。

 

・アンモニア・・・し尿のようなニオイ


・メチルメルカプタン・・・腐った玉ねぎのようなニオイ


・硫化水素・・・腐った卵のようなニオイ


・硫化メチル・・・腐ったキャベツのようなニオイ


・二硫化メチル・・・腐ったキャベツのようなニオイ


・トリメチルアミン・・・腐った魚のようなニオイ


・アセトアルデヒド・・・刺激的な青臭いニオイ、青臭い甘いニオイ


・プロピオンアルデヒド・・・刺激的な甘酸っぱい焦げたニオイ


・ノルマルブチルアルデヒド・・・刺激的な甘酸っぱい焦げたニオイ


・イソブチルアルデヒド・・・刺激的な甘酸っぱい焦げたニオイ


・ノルマルバレルアルデヒド・・・むせるような焦げた甘酸っぱいニオイ


・イソバレルアルデヒド・・・むせるような焦げた甘酸っぱいニオイ


・イソブタノール・・・刺激的な発酵したニオイ、甘い香り


・酢酸エチル・・・刺激的なシンナーのようなニオイ


・メチルイソブチルケトン・・・刺激的なシンナーのようなニオイ、甘いニオイ


・トルエン・・・ガソリンのようなニオイ


・スチレン・・・都市ガスのようなニオイ、ゴム臭


・キシレン・・・ガソリンのようなニオイ、甘いニオイ


・プロピオン酸・・・刺激的な酸っぱいニオイ


・ノルマル酪酸・・・汗くさいニオイ、酸っぱいニオイ


・ノルマル吉草酸・・・むれた靴下のようなニオイ


・イソ吉草酸・・・むれた靴下のようなニオイ、強いチーズ臭

 

人体に関するニオイ(し尿臭・糞尿臭・汗・体臭など)は、アンモニアなどの窒素化合物やメチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチルなどの硫化化合物、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸などの低脂肪酸類が多いと言われています。

特殊清掃での悪臭と言えば、故人から漏出した体液や腐敗液なのですが、そもそも人やペットの腐敗臭の成分は限られています。しかしそこに多種多様の雑菌やそれに伴うカビが繁殖することでさらに悪臭が発生してしまうのです。

故人が亡くなった現場の温度や湿度などにより異なりますが、通常人が亡くなると1~2日で腐敗が進むと言われています。人間の体内には、常に微生物やバクテリアなどの細菌が潜んでいますが、免疫作用により生きているときには細菌の増殖を止めることができます。しかし、亡くなってしまうと免疫作用がなくなり細菌はどんどん増殖してしまいます。この増殖した細菌により体内のたんぱく質が分解されて、時間の経過とともに体液や腐敗液として体外へ漏出していきます。腐敗臭は、一般的に夏であれば2~3日、冬でも5~7日程度で発生すると言われていますが、亡くなった人の体質や現場の環境によって腐敗の速度は異なります。冬でも暖房が機能した部屋やこたつの中など温度の高い状況であれば腐敗が始まるのも早く、そのぶん腐敗臭の発生も早まります。漏出した体液や腐敗液は空気中に蒸発して天井や壁、家具類などに付着しはじめることで部屋全体に広がりやがて家中や屋外にまで広がっていきます。そのニオイは一体どんなニオイかと聞かれると・・・それはかなり強烈なニオイで一言でもう二度と嗅ぎたくないニオイとしか言いようがありません。例えるなら、クサヤやチーズ、生ごみが腐敗したようなニオイなのです。クサヤは魚の干物の一種で、普通の干物は乾燥させるだけなのですが、クサヤはさらに発酵させてあります。大豆を発酵させた納豆が臭いのと同じで、クサヤは普通の干物と違って名前になっているほど臭いです。

また根拠などはないですが末期がんの方の特有な臭いに似たものもあるあると言われています。


特殊清掃現場での悪臭は、そのクサヤが腐敗して臭気が数倍、数十倍になったようなニオイなのです。このニオイのレベルは、ご遺体や発見された現場の状況にもよりますが、人間の体はクサヤやチーズ、生ごみよりはるかに大きいので、尋常ではないほどの悪臭と言えます。

この強烈なニオイは、脳にまで刷り込まれて忘れられないほどで精神的なダメージを受ける可能性があります。

孤独死のあった現場では、だいたい発見されるまでに数日以上かかることが多いです。夏であれば、24時間以内に腐敗が始まってしまうためすぐにニオイが発生してしまいます。

このニオイは、目に見えないニオイ分となって天井や壁、家具類、衣服や書籍などあらゆるものにゆっくりと広がり、体液はフリーリングやクッションフロア、畳のわずかな隙間を通って下地へ、場合によってはさらに基礎部分まで浸透することがあります。故人が壁にもたれかかるようにして亡くなった場合は、ビニールクロスや下地、石膏ボードまで染み込んでいることもあります。このようにニオイの元が木製資材や資材奥など建物の構造奥深くまで入り込んでしまうと、通常のクリーニングを行っても一時的にニオイがおさまることもありますが、ニオイの元を取り除くことができないため根本的なニオイの解決はできません。

また特殊清掃においても同様で、表面洗浄・除菌を行っても奥深くまで浸透した体液などが腐敗して乾燥とともに揮発して再びニオイ戻りをおこしてしまいます。このニオイ戻りの原因は、浸透した体液に雑菌やカビの繁殖が原因として考えられます。

このようにフローリングやクッションフロア畳の隙間からビニールクロスや下地、石膏ボードまで染み込んでしまった場合は、フローリングであれば切り取りを行ったり、石膏ボードであれば、粘土状になっているので撤去を行わなければいけませんが、むやみやたらに切り取る必要はありません。石膏ボードであれば、体液を吸い上げている所から数十㎝の切り取りで十分です。不必要に切り取りを行ってしまうと、現状回復費用が大幅に必要となってしまいます。

しかし、特殊清掃業者の多くは石膏ボードのニオイの除去方法を知らないため、石膏ボード自体を全面撤去することが多いのです。

また特殊清掃の現場では、フローリングで亡くなり発見が遅れてしまったことで、体液が床の一番底のモルタルやコンクリートまで達してしまうことも珍しくありません。特殊清掃業者の中には、体液が浸透した箇所を破壊(ハリツ施工)するところもあります。この作業を行ってしまうと、モルタルやコンクリートの本来の目的である強度を損ねてしまう可能性があり、耐久性に影響を与えてしまいます。そのことから、最近の新しくできた共同住宅

では賃貸・分譲とも破壊(ハリツ施工)を禁止している管理会社も多いようです。

企業秘密ではありますが、モルタルやコンクリートは破壊(ハリツ施工)を行わなくてもニオイの除去は可能なのです。破壊(ハリツ施工)を行わずニオイの除去ができるので、耐久性に影響を与える心配はありません。また体液の浸透度が低い場合は、木製資材も洗浄により臭気除去は行うことができます。


 

まとめ

 

今回は臭気源の成分などについてお話させていただきました。

孤独死現場には必ずと言っていい程、人の腐敗臭や生ゴミ臭が混在しています。

人が亡くなり発見が遅れてしまうと、腐敗が始まりニオイ分となって井や壁、家具類、衣服や書籍をはじめ部屋全体にまで広がってしまうので、特殊清掃業者でなければニオイの除去はできません。しかし、特殊清掃業者であっても技術不足のため完全にニオイの除去ができないところも多くあります。

弊社は、可能な限りニオイのもとやニオイを発生させている物質を除去して完全消臭を行っています。これからもお客様に納得していただき、依頼して良かったと思ってもらえるような施工を行って参りたいと思います。